年度初に提出した今年度の研究計画書に記したとおり、平成13年度を通じて、文書資料を再検討して分析視角の深化につとめるとともに、当該年度から新たに着手する専門店小売業態と消費のあり方に関する資料収集やそれにもとづく実証的分析、これまで継続して研究してきた百貨店・スーパー・コンビニエンスストアと生産に携わる経済主体との間で構築された取引制度に関する実証的・理論的分析を進めた。 具体的には、年度を通じて、(1)国立国会図書館や東京大学経済学部図書館など各種図書館において、戦後日本の繊維流通をめぐる生産者・流通業者間における取引制度に関する資料調査、(2)イトーヨーカ堂グループ名誉会長伊藤雅俊氏など各種小売企業およびマドラス経営陣などアパレル製造企業のトップマネジメントに対するヒアリング調査、を意欲的に実施した。また、アパレル製造企業と繊維産地との間で形成された取引制度に関する比較研究を実施するため、3月に、イギリス公文書館(Public Record Office)とマンチェスター公文書館(Manchester Public Office)を訪問し、ロンドンおよびマンチェスターにおける繊維流通の実態を把握するための資料調査を実施した。 上記の調査から得られた知見をもとに、来年度は各種論文を発表する予定であるが、すでに、今年度中において、「アパレル:リスク適応戦略をめぐる明暗」宇田川勝・新宅純二郎・橘川武郎編『日本の企業間競争』有斐閣、第7章、2000年10月、および、「経営戦略と流通革新」佐々木聡編『日本の企業家群像』丸善株式会社、第7章、2001年3月、を発表済みである。
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