研究概要 |
本年(平成12年)度に行った研究は以下の通りである. すなわち,技術発展メカニズムおよび企業の技術開発戦略に関わる既存の文献,および企業情報データベース・技術情報データベース・市場情報データベースを利用することによって,本調査研究が対象としている撮像素子技術並びにデジタルカメラ技術に関わる企業の技術開発状況並びに事業成果について調査を進めるとともに,これら企業のいくつかについてより踏み込んだバックグラウンド情報の収集を試みた.具体的には,エレクトロニクス・メーカーのM社,T社,H社,C社,光学機器メーカーのO社,F社を対象として,次年度のためのパイロットスタディとして非構造的聞き取り調査を行った. 新技術の事業化に至る長い過程で他の様々な技術との関係について再考が重ねられてきたこれら6社の事例研究から得られた諸知見,および申請者がこれまでに蓄積してきた研究成果を基盤として,複数の技術が複雑な相互依存関係を持つ現代の技術発展と,技術開発戦略,事業成果の関係を分析するための枠組みを構築し,鍵概念の抽出と,分析次元の選定を試みた. 研究成果は,現在まだ公表する段階にはないが,次年度のより詳細な実態調査に向けてのパイロットスタディを通じて,分析枠組みの精緻化,本調査の対象企業の選定およびデータの整理が進行中である.近日中には,技術開発に関与する技術者たち,および組織内部で意志決定権限を持つマネジャーたち(主として部長,事業部長,担当取締役)を対象として詳細な聞き取り調査が開始される予定である.これら定性的データは,数量化された技術データ,市場データとともに,整理,分析され,本年度行われた調査研究の結果と総合されて,最終的な研究成果として公表される予定である.
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