研究概要 |
最近は大規模なウイルスの蔓延やデータ流出などセキュリティに関する問題が大きな社会問題として取り上げられることが多く,対応する教育の強化を求める声も高まってきており,Web環境においてはさらに高度な技術を利用した個人情報の流出も懸念されている.しかしこのような技術に関してその仕組みと対策を教育する体制はまだ整っていない.Web利用がますます日常化し,当然のことながらテレワーク環境にも大きな影響を及ぼす今後の企業社会においては,Web環境の利用を考慮した情報リテラシー教育が重要になるといえる. 企業組織内では口頭による伝達方式ではなくテキストによる伝達方式が優勢になることにより知識の蓄積が進み,その知識の蓄積の上に様々な組織が形成され,業務が行われるようになるとの報告もある.Web環境の様々なツールで主体となるテキストによる伝達は,明示的情報や発信者の心的情報の伝達が困難であり,それを克服するための能力が重要となる.その問題点を明確にした上で情報発信の教育を行うことが,今後の情報リテラシー教育には重要であると言える.また,そのためには従来のトップダウン的な教育方法だけではなくボトムアップ的な自己啓発が必要になるため,その能力と動機付けの仕組みを検討する必要がある. また,テレワークと類似した就業形態として扱われているSOHOワーカに対しての調査結果からは,テレワーカとSOHOワーカの意識の違いが鮮明になり,企業が人材を確保するためには従来の組織体制を大きく見直して意識を転換しなくてはならないことが明確となった.
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