本年度は、昨年度までに博士論文執筆のために収集した資料の穴を埋めるための追加的な資料調査が中心であった。 19世紀後半の英国における互換性の位置と、クラフト規制をめぐる組合と経営側の交渉過程、そのプロセスにおける 技術標準化の影響について、史料、ならびに最近の研究成果(未刊行博士論文)の入手をおこなった。具体的には9月に渡英し、バーミンガム大学リファレンスライブラリー、コベントリーのウオーリック大学現代史料センター(MRC)、バーミンガム・リファレンス・ライブラリーでの文献調査の継続、ならびに現地研究者のインタビュー等を行った。また追加的に、北イングランドまで足をのばしストーク・オン・トレントの博物館、同市内ウエッジウッド社のインタビューをおこなった。またバーミンガムでは、キャドベリー社のミュージアムならびにインタビュー等を行った。研究方針の性格上、今年は研究成果を論文の形にするまでには至らなかったが、二度海外のシンポジウム、ワークショップにおいて報告を行った。ひとつは9月に英国、オクスフォード・ブルックス大学欧日研究センターにおける報告であり、もうひとつは11月1-4日に香港大学にておこなわれたInternational Symposium of Anthoroporogy of Administrationにおける報告である。そこでのディスカッションやコメントをもとに、次年度は、国内学会報告、ならびに論文としての完成をめざしている。
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