平成12年度の研究としては、 (1)東南アジア自動車産業関係学術論文文献改題作成。 (2)海外企業訪問用調査票作成。 (3)シンガポール、フィリピン自動車・自動車部品産業調査(平成13年2月8日〜16日)。 訪問先:ヤマハ、デンソー、トヨタ、いすゞの地域統括拠点…以上、シンガポールISUZU Autoparts Manufacturing、JETRO、マニラ日本人商工会議所…以上フィリピン 東南アジアにおける自動車部品の相互補完体制は、BBC/AICOといった関税恩典を受けながら実施されていると理解されているが、これらの申請には手続きに時間がかかる上、CEPTに基づく関税0〜5%の実施が2003年に迫っているため、先進的な企業ではすでに関税恩典を受けずに商業ベースで自動車部品の域内輸出を開始している。そのようななかでもAICOにのっとった部品輸出入に興味をもっているのは、90年代にこの構想を展望して設置されたあたらしい部品専業拠点である。例えば、フィリピンのISUZU Autoparts Manufacturingが同じ工業団地内のISUZU Philippine向けに供給するトランスミッションは全体の1割未満で、他はタイの自社系組立拠点へ輸出される。この輸出にはAICOを認可されている。 部品拠点・メーカーのこうした域内部品補完への参加は2種類ある。第一はデンソーのように自らAICOをとって(一部、商業ベースあり)、域内の自社系(部品)専業企業へ輸出するケース。第二はいすゞがインドネシアで曙ブレーキから納入されたブレーキ部品を、何の加工も施さず、AICOにのせてタイのいすゞ系組立拠点へ輸出するようなケースである。これはBBCからはじまる自動車部品相互補完体制が「同一ブランド」内で完結するよう構想されたからであり、それが組立メーカーのみでなく、部品メーカーも参加するようになってからは、部品の送り手と受け手が別会社になるという例が現れてきたのである。
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