本年度は、人事異動の主目的の1つである人材育成に焦点をあて、その人材育成のあり方が組織学習やその必要条件の1つである組織内地図とどのような関係をもちうるのかということを研究した。 その結果、新たな雇用関係に移行する中、人材育成のあり方にも大きな変容、異なる役割が期待されていることがまず明らかになったが、それと同時に、組織学習の質を保ったり、活発な学習活動を実現するためには、先行研究が今後必要であるとする新たな雇用関係に関わるいくつかの施策を単純に、あるいは組織一律で導入することはあまり適切ではないとの考察が得られた。組織学習の活発化だけでなく、有能な人材の流出問題の改善にも貢献する組織内地図がどれだけ発達しているかによって、新たな雇用関係に関わる施策が良い方向に機能する場合もあれば、逆効果になる場合もあることが明らかになったのである。現在、この考察・分析結果については投稿中である。
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