ビジネスにおけるデータマイニングをより効果的に実施するにあたっては、企業の履歴データを従来のリレーショナルデータベース(RDB)もしくはデータウエアハウスによって蓄積するのではなく、XMLに基づいたより詳細なデータ構造によって蓄積することが重要となり、その理論的枠組みの構築およびソフトウェア技術(履歴ベースシステム)の実装を本研究の目的としている。 今年度は、その元になるデータを実企業から提供してもらった。しかしながら、そのデータは従来のテーブル構造に基づいたもので、そのデータをXMLに変換する必要があった。収支報告における謝金は、その変換業務で使用した。 さらに、そのXMLデータ構造を処理するソフトウェアとして、ビジネスで必要となる処理に特化してUNIXコマンドとして実装をおこなった。設備備品費や消耗品費は、これらの開発活動の中で消費された。 2000年の夏に、米国の共同研究者である南カリフォルニア大学のIp教授を訪問し、RDBに基づいたデータウェアハウスの構築を完了した。さらに、我々のシステムを用いてデータマイニングを共同で実施し、マイニングの成果とともに基礎システムとして履歴ベースシステムの有効性を検証することができた。外国旅費は、この一連の活動のために用いた。 反省点として、今年度の計画ではRDBと履歴ベースシステムの理論的比較を目標の一つとしていたが、履歴ベースの開発に時間をとられ、実施に至っておらず、来年度の課題として早急に取り組みたい。 研究成果は、履歴ベースシステムに関しては『発見科学とデータマイニング』において、さらに部分的ではあるがACIS学会において発表を行った。また、履歴ベースに基づいたデータマイニングの成果に関してはACISおよびDS2000において発表を行った。さらに、ソフトウェア技術に関しては、全ての実装が終了し次第、ホームページ上に公開する予定である。(800文字)
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