研究概要 |
本年度は,米国証券取引委員会が公表している会計・監査連続通牒(第715号から第1000号)を分類・データベース化するとともに,これに関連する資料の収集にあたった。 会計・監査連続通牒は,会計制度・会計基準に対する米国証券取引委員会の見解の他,不正な財務報告がなされた場合において監査人(公認会計士・会計事務所)にかかる不正な財務報告を発見する責任があったと考えられるケースについて,米国証券取引委員会がその監査人を告訴した旨,その経緯・理由等を公表するものである。会計・監査連続通牒は証券取引委員会が告訴したケースのみを公表しており,米国におけるすべての不正な財務報告を代表するサンプルとして適格であるかどうかについて疑義はあるが,潜在するすべての不正な財務報告を他の手段を通じて検索することは事実上不可能であるため,本研究では,会計・監査連続通牒を主要なデータのもとであると仮定し,そのデータの分類とデータベース化を行っているものである。 具体的には,不正な財務報告の行われた会社の規模(資本金),当該会社の属している産業,当該会社の営業上の特性,不正な財務報告の生じている領域,荷担した主体(経営者・従業員,まれに監査人),潜伏期間(最初の不正が行われてから発覚に至るまでの期間),被害額について分類・データベース化を行った。現在,このデータベースをもとに,実証分析を行っており,その結果を次年度の日本監査研究学会東日本部会において公表する予定である。
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