研究実施計画のとおり、平成13年度は、初年度において構築をおこなった実験のための小規模ネットワークシステム上に、電子開示システムのプロトタイプの構築を行った。当初は、アメリカのEDGARと同じくSGMLによるマークアップによって会計情報を開示する予定であったが、XMLという新たな技術を応用したXBRLが登場し、会計情報の電子開示システムに取り入れられている事例などもあることから、XMLによるマークアップによって会計情報を開示するシステムを構築することにした。 事象アプローチに基づくシステムを構築するためには、基礎データをもとにして利用者側による集約を可能にするような仕組みをつくる必要があるが、この点においてXML技術が非常に有用であることが、図らずして検証されることにもなった。会計情報の基礎データをXMLのDTDとして定義し、それに基づいてマークアップされたデータをWebサーバー上に置き、これらのデータを集約(数値の集計や勘定科目の統合など)しながら、きれいにレイアウトされた形でブラウズすることができるように、XMLのXSLTという機能を使えばWebブラウザーに表示することが可能となる。なお、当研究代表者が担当した「大阪市立大学インターネット講座2001」(http://www3.bus.osaka-cu.ac.jp/vuniv2001/lecture09.htm)においても、この研究成果の一部として、XML技術とXSLTの機能を使ったWebブラウザーによる会計情報の開示のサンプルが公開されている。 電子開示システムの標準となりつつあるXML技術をフルに活用し、事象アプローチによる会計報告システムのためのXMLタクソノミーの策定が、今後の課題として残されている。
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