当初予定していた研究目的・計画に照らしてみると、実績は概ね予定通り順調に達成されたと思われる。それは、(1)医療機能評価・医療経営会計制度に関する資料について補足・網羅ができたこと、(2)欧米、とりわけアメリカの医療機関の情報についてはインターネットを通じて少なからず把握ができたこと、(3)ディスクロージャーが遅れている医療現場において、数件の医療機関に(財務情報について)インタビューができたこと、(4)医療機関に対して、アンケートの依頼とその実行(回答結果・取りまとめについては次年度)が可能となったこと、によるからである。ただし、先駆的な研究ゆえ、図書文献・資料の過少さを認識し、逆に本研究こそが端緒であることを痛感している。今後とも精進を重ねたい。 一方で、計画以上の展開もあった。とりわけ、(1)本研究の一成果を口頭にて発表する機会に恵まれたこと(2000年度日本社会関連会計学会全国大会統一論題報告 大分大学)、(2)本研究の成果の一部を共同執筆の図書(『政府/非営利組織体の経営・管理会計』第14章・第16章所収 創成社)に公表することができたこと、である。研究の遂行中ではあるが、果敢に成果が外部に公表されることは次年度の研究の糧ともなり、功といえるように思われる。 また、実績を重ねる上での研究補助金は、適正かつ有効に執行できたと思われる。基礎研究資料などの収集、成果発表などに有効活用させていただいた。 最後に、医療機能評価に有用な医療経営会計制度は、医療管理者にとって、外部公表用の規準性を確保しながら、内部管理の指導性を発揮するフレームワークが必要であることを初年度の研究より指摘できたと結論づけたい。次年度は、本年度を礎としてさらに研究を深化させていきたいと思う。
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