予定していた研究目的・計画に照らしてみると、実績は前年度同様概ね順調に達成されたと言える。それは(1)前年度以上に医療機能評価・医療経営会計制度資料の補足・充実ができたこと、(2)今年度はイギリスの医療機関の情報について把握できたこと、(3)開示が後進である医療現場に対してのとりわけ財務情報についての収集が可能になったこと、(4)医療機関に対してのアンケートの回収が順次整理されつつあること、である。ただし、アンケートについては回収データの整理、データ分析とその公表については若干の余地を残すことになった。早急に結果としての成果を披露したい。 一方で、計画を越える成果も得られた。とりわけ、インタビュー形式にて本研究の成果を医療経営を取り扱う専門雑誌で発表できたこと(日本医療企画刊『フェイズ3』2002年3月号)、また、研究成果の一部を共同執筆の図書(『現代ヘルスケア論』第4章、第9章所収)に公表できたことである。研究が世の中に問われ、かつ現行の制度に対しての提言が行えたことは実り多いことであった。 また、本研究にあたっての研究補助金は、適正かつ有効に執行できたと思われる。研究資料の収集・成果発表・インタビューなどにも有効活用させていただき、資金面において大きな支えとなった。 最後に、医療機能評価に有用な医療経営会計制度は、様々な利害関係者を外部環境に抱えながら、利害調整機能を発揮するべきであると考えられる。そのためにはディスクロージャー指向に重点をおいてフレームワークを作り上げていく必要があることを痛感している。本研究は、期間内に一定の成果をあげることができたと思われるが、決して終止符が打たれたわけではない。むしろ、大きな課題の1プロセスである。実現可能な制度を作り上げるために、チャンスがあれば本助成に果敢にチャレンジして、確固とした枠組みを結実させていきたい。
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