研究概要 |
高々末端特異点しか持たず反標準因子が豊富な多様体をQ-Fano多様体と呼ぶ。三次元のQ-Fano多様体(以下、Q-Fano三様体)の中で、Weil因子のなす群を数値的同値で割った群が反標準因子のクラスで生成され、高々商特異点しか持たないQ-Fano三様体(以下、主Q-Fano三軌道体)の分類について研究した。 以下、Xを主Q-Fano三軌道体で非特異ではないとし、Xの反標準線形系が高々Du Va1特異点しか持たない元を含むとする。さらに、Xの種数g(X)=h^o(-K_x)-2は2以上とする。 (1)Xの商特異点の極小解消と反標準因子と-1で交わるP^1の爆発たちの合成g : Z→Xで、Zが非特異弱Fano三様体となるものがある。 これからZの反標準モデルh : Z→Wに対し、Wが向井茂氏の意味での(標準特異点も許す)不分解Fano三様体になることが簡単に分かる。向井氏は、不分解Fano三様体の表示法を発見し、もっとも面白い種数が7以上の場合、Xは等質空間の線型切断になることを示した。これからすぐ分かることは、上の条件の下、g(X)【less than or equal】8が成立つということである。 (2)必要ならXを少し変形させることで、Wの特異点集合は,W上の平面に含まれるいくつかの直線と有限個の点の和集合、gの例外因子の和集合はhの例外因子とWの平面のZ上の強変換の和集合になる。 (3)(Xの特異点の指数の和)【less than or equal】1(直線を支配するhのクレパント例外因子の総数)+(Wの平面の数)。 これらを利用して、WがGrassmann多様体の切断になっている場合,つまり,種数が6以上の場合のXの分類を片付けるのが来年度の目標である。
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