研究概要 |
この研究により得られた結果を大別すると以下の3つとなる。 1.『無限次元Lie超代数の普遍中心拡大』 まず、有限次元単純Lie超代数gのChevalley型のbasisを構成した。次に、その基底を用いて、任意の体κ上の可換代数Rに対し、Lie超代数g【cross product】Rの普遍中心拡大を構成した。この結果は、(superでない)単純Lie環の場合については、1980年のGarlandに始まり1984年のKasselによる結果であるが、ここではその結果を一部用いた上で、対応する結果をほとんど得ている。技術的には、長さが0のodd rootの存在が障害になっていたのであるが、その部分を解消することが出来た。 2.『Affine Lie超代数の脇本加群』 1の一つの応用として、Affine Lie超代数A(m-1,n-1)^<(1)>,D(2,1,α)^<(1)>の脇本加群をexplicitに構成した。また、その応用として、これらのAffine Lie超代数のcritical levelにおける、'generic'なhighest weightを持つ既約highest weight表現のcharacterに関するKac-Kazhdan予想を示した。 3.『N=1 Virasoro超代数の表現論』 N=1 Virasoro超代数のVerma加群やFock加群の構造は、Virasoro代数の対応する表現の構造と全く同じ構造を持っている、信じられていたようであるが、Ramond sectorについて、Supersymmetric pointと呼ばれる、特別なhighest weightを持つ場合は、その表現の構造に超代数固有の現象があることを発見し、この場合の詳細な構造を決定した。また、Fock加群については、その構造定理に関して、Virasoro代数の場合にも、簡略化される新たな証明を見出した。 以上の結果は、1と2については、下記の学術論文に発表されており、3については、学術論文を投稿中であることを付記しておく。
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