研究概要 |
本研究の目的は,対称群の作る群環に射影子fを付け加えてできるBackgammon代数と,このq変型について考え,その表現から,結び目,絡み目の新しい不変量を構成することであり,本年度の当初の予定では,q変型として適当なものを探すことであった。しかしながら,研究の順序を変更し,q変型を行わない場合についての表現を考えることから始めた。まず,特別な形のYoung図形の並びを添字とする表現の構成を試みたところ,対称群の表現の次数とhook-lengthおよび,axial-distanceを用いた式を係数にもつ表現が構成できることが分かった。そこで,その他のいくつかの場合についてこの式を当てはめ,コンピュータで計算をしたところ,やはり表現となる条件をみたしていることが確認されたので,一般の場合について成り立つことの証明を試みた。その結果,49の場合分けが生じたが,Young図形の変型とaxial-distanceとの間の等式をいくつか組み合わせることにより,その全てについて表現の条件を満たすことが証明出来た。さらにこれらの表現が互いに同値でないことを示し,次元を比較することにより,現れる表現が既約表現の完全代表系であることを示した。これにより,q変型を行わない場合,Backgammon代数が半単純であることの証明が得られた。2001年(平成13年)5月にアリゾナで行われるFPSAC01 (Formal Power Series and Algebraic Combinatorics 2001)でこれらの結果についての講演を行うにあたり,関連する研究を行う人達に内容が類推できるようにBackgammon代数をParty Algebraと名前を変え,"Party Algebra and Construction of its Irreducible Representations"というタイトルで講演を申し込んだところ,十分な内容であるという評価を得て,講演が了承された。
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