今年度は、Belavinによる楕円型R行列の三角極限に関する模型の考察を行った。Belavinの楕円型R行列はYang-Baxter方程式の楕円型の解のうち、もっとも基本的なものである。このR行列によって可解性が保証されるL作用素の構成法にはSklyaninによるreflection equation(反射方程式)の解を用いるものがある。反射方程式は、Yang-Baxter方程式の解であるR行列に対して、境界行列Kを定める方程式であり、これらのRとKから、L作用素が構成されるのである。しかし、現今までのところ反射方程式の解の例は多くは知られておらず、その分類には程遠い状態である。 今年度は、Belavinによる楕円型R行列の三角極限に対する反射方程式の解の分類に関する研究を行った。R行列はスペクトラルパラメーター以外に加法的にはよくηと書かれる模型の異方性を示すパラメーターを持つが、R行列のランクが一般の場合に、対応するK行列はこのηに関して独立であることを示した。さらに、特にランクが3の場合にはK行列の解を分類し、その解空間がSegre threefold P^1(C)×P^2(C)となっていることを示した。
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