研究概要 |
低次元射影的アノソフ力学系の大域的構造に関して次の結果が得られた. 2次元射影的アノソフ微分同相写像 2次元射影的微分同相写像の射影的アノソフ構造を保つイソトピーの不変量が厳密に構成でき,さらにいくつかの場合に不変量を具体的に計算し,この不変量が平面場のホモトピー類といったこれまでに知られている不変量について同じ値を示すものでも,今回発見された不変量が異なるものがあることが明らかになった.この結果については,2000年6月に龍谷大学で行われた国際会議「New Trends in Dynamical System-Ryukoku 2000」やブラジルのリオデジャネイロで7月に行われた「INTERNATIONAL CONFERENCE ON DYNAMICAL SYSTEMS」,京都大学数理解析研究所で9月に行われた研究集会「力学系理論の新しい展開」で報告を行なった.またこの結果はpreprint"An invariant for projectively Anosov diffeomorphisms on the two dimensional torus"としてまとめられており,投稿準備中である. また,考えている射影的アノソフ力学系が恒等写像とホモトピックな時にはgenericに力学系がモース・スメール系になることを利用して,うまく力学系を変形することで標準的な射影的アノソフ力学系になるであろうことが,ほぼ解明された.この結果に関しては現在論文執筆中である. 3次元射影的アノソフ流 3次元射影的アノソフ流に対して2次元の場合と同様の構成を行なう際の障害についての知見が得られた.その結果,2次元のように幾何学的対象を構成することは難しいが,ホモロジー群としての不変量を構成することはいくつかの状況証拠から可能であると思われる.この研究は現在も継続中である.
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