研究概要 |
本研究代表者のこれまでの研究によって,Norden計量を持ち双対正則射影平坦な統計多様体上には,複素アファインはめ込みを用いてコントラスト関数を構成できることがわかっていた. この手法を拡張させ正則共形平坦性,正則射影平坦性を持つNorden多様体上にコントラスト関数を構成した.またこの問題を解決するために,複素共形構造を特徴付ける正則共形曲率テンソルを構成し,複素余次元2のアファインはめ込みの構成を行った.正則共形曲率テンソルはSingh A.L.およびSingh S.D.の研究によって提唱されていたが,本研究では彼らの定義を修正し,アファイン微分幾何学などにより自然に応用できるものにした.さらに幾何学的ダイバージェンスと呼ばれるコントラスト関数の場合に,そのBartlettテンソルを決定した.このテンソルはアファインはめ込みの存在や正則共形平坦性などの様々な平坦性などとも密接な関係があり,アファインはめ込みの構成とBartlettテンソルの決定は必要十分な関係にあることもわかる. また関連した研究として,Norden計量を持つ複素統計多様体の構成を行った.具体的には任意の統計多様体に対して,その接束への水平持ち上げから常にNorden計量を持つ複素統計多様体が得られることが分かった. これらの研究成果は学術雑誌への投稿準備中である.また接束上の統計多様体に関しては現在も関連研究を継続している.
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