一次元の非粘性バーガース方程式の初期条件として、片側ホワイトノイズと片側ブラウン運動を与えた二つの場合について、パリ第六大学の研究者J.BertoinとC.Giraudとともに研究した。いずれの場合でも、固定した時刻(例えばt=1)での解は可算無限個の不連続性を持つが、前者では大きな不連続性がまばらにあり、後者ではどんな狭い開区間にも無限個の(小さい)不連続性がある。1950年代のHopfの研究により、これらの解の不連続性の一と大きさは、完全非弾性ニュートン質点の位置と質量を表し、さらに解の値自体は質点の速度場に対応している。我々は、空間の原点を時刻tまでに通過してしまった質点の合計質量が、マルコフ過程であることを示した。さらに、この確率過程の遷移確率及び、微少時間内に発生する跳躍の分布を決定し、特殊関数を使って表示した。この共同研究の内容は、現在投稿中である。 これに引き続いて、上記の確率過程に対する重複対数の法則を、研究代表者単独で研究した。片側ブラウン運動の初期条件の場合には結果をすでに得ている。 さらに、片側ホワイトノイズの場合に、時間tを固定し、空間座標x(_i0)を負の方向に通過してしまっている合計質量について、xを変数とする確率過程と見て、研究した。この初期条件では、どんなに短い時間の経過後にも、どんな遠いところにも質点が到達しているという顕著な性質があるので、x→∞のときの重複対数の法則を得た。
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