研究概要 |
非対称行列を係数行列とする連立1次方程式を解く反復解法の中で,特にSOR法に関して,非対称性に対応した順序付けと成分ごとの緩和係数の選び方を与えた方法を提案しており、今までに2次元の問題に適用したときの誤差解析など,論文に掲載されている.また3次元の順序付けと緩和係数なども共同研究として結果を得ている. 最近,この順序付けがSOR法の反復行列の絶対値最大の固有値に対応した固有ベクトルの成分の大きさの順序に関連があることがわかり,数値例と共に具体的にまとめている(関連した話として,2001年度春季日本数学会年会にて講演予定). 係数行列がn次三重対角行列の場合,緩和係数は反復行列のスペクトル半径を0とするように決められ,このとき高々n回の反復での収束が保証される.すなわち,直接法のGaussの消去法,特にLU分解との対応付けがあることは既に示した.対称の場合での共役勾配法との関連については投稿準備中である. さらに,上記の数値実験で計算機によって誤差を完全に0にする現象が起こった.これについては共同研究として投稿中である. 一方で室谷義昭教授(早大)と共同で,遅れのある微分方程式に関する研究も引続き行っており,その結果として,本年度はBITとComputingに論文が掲載された.現在,上記の論文での有限和に対する結果を積分形式に拡張し,数値例を含めた結果としてまとめている.
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