研究概要 |
有理型函数・正則曲線の値分布の研究を通じて得られた結果を,微分方程式、差分方程式、あるいはFermat型の函数方程式が持ち得る有理型函数解の研究に応用した。また、値分布の観点から超越函数と有理函数の違いについて調べた。 今年度の研究成果のうち、以下のものについてその概要を述べる: (1)二重周期函数を係数にもつRiccati方程式の解の周期性について。 (2)有理函数の一意性集合について。 (1)平面上で有理型な函数を係数にもつRiccati方程式の有理型函数解がなす集合については、空集合、一点または二点のみからなる集合、あるいは1径数族をなすかのいずれかであることが知られている。前年度の研究を補完するために、石崎克也氏(日本工業大学)、下村俊氏(慶応大学)、I. Laine氏(Joensuu大学、Finland)との共同研究を継続し、また別のタイプの楕円函数を係数とする方程式でも、解が全て一価有理型となり得る事を示した。前年度の場合では、その解の2重周期性について一部に解明しきれない場合が残ったが,今年度の研究においては全ての場合を尽くす事ができた。 (2)G. G. Gundersen氏(New Orleans大学)との共同研究で、主に超越的なものを対象にした有理型函数の一意性に関する結果を、有理式に制限した場合に精密化し、関連する問題について考察した。多項式・有理式の一意化集合、3つの値を共有する有理式に関する結果を得て、さらに有理式に特有な反例等を与えることで当該分野での新たな知見を得ることができた。
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