本研究では平成12年度に引き続きプラズマに関連する基礎方程式を中心に研究を進めた。Vlasov-Poisson-Fokker-Planck systemの研究では、コーシー問題に対して初期値の取りうる幅広い関数空間を設定し、この非線形偏微分方程式の十分滑らかな時間大域解の存在と一意性に関する結果と数学的な証明を与えることに成功した。その結果は次元が1次元、2次元、3次元場合に述べられており、その証明のなかで平成12年度の時間局所解の存在定理が応用されている。継続的な研究がこのような成果に結びついたことは言うまでもない。また、この成果は雑誌:Journal of Mathematical Analysis and Applicationsに掲載されている。Collision-less Vlasov-Poisson systemの研究では、初期値の大きさに関する制限を置くこと無しに、密度関数の時間に関する減衰評価式を与えた。一般に大きな初期値のもとで減衰評価式を導くのは難しく、このことからもこのような研究は数学的に意味があると思われる。 本研究では、非線形波動方程式の研究も同時に進めてきた。臨界指数を含んだ非線形項をもつ摩擦波動方程式のコーシー問題に対する時間大域解の存在定理が主な研究成果である。もちろん、適当な関数空間であれば任意の初期値に対して成立する結果である。残念ながら本年度中に然るべき雑誌に論文を掲載するには至らなかったが、12月の研究集会でその成果を発表することができた。本年度末には、日本数学会でその成果を発表する予定になっていて、引き続きこの方面での研究も進めている。したがって、研究の継続のために平成14年度の補助金の確保が不可欠な状態である。補助金によって購入した設備とソフトウエアーが研究を進めていく上で非常に役立ったことを付け加えておくととに、補助金に対して感謝したい。
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