研究概要 |
本研究の主目的は、実階数の高い、一般の半単純リー群の表現(特に離散系列表現)に付随したWhittaker関数の満たすべき微分方程式系と、それら表現の不変量(Bernstein次数・随伴サイクル)を明示的に求めることである。現時点ではこれらの具体例が不足していることから、以前SU(n,1),Spin(2n,1),SO-0(2n,2)の場合に用いた手法で低階数の群の離散系列表現のWhittaker関数や随伴サイクルを求め、一般の場合への指針を立てるのが本年度の目標であった。 そこで本年度はまず、随伴サイクルの明示式に関する予想が一般に成り立つことを確かめることなどを目的として、実階数2の群SU(n,2)の場合を調べ、離散系列表現のWhittaker関数と随伴サイクルの明示式を得た(プレプリント)。また、高階数の場合への指針を立てる事などを目標として、実階数3の群であるSp(3,R)やSU(3,3)の場合を調べた。こちらについては、Schmid作用素から得られる微分差分作用素を一次元化する作業が現在進行中である。これに成功すれば、実階数一般の場合への拡張が容易に出来ると期待している。また、山下博氏との研究連絡により、離散系列表現の随伴サイクルの明示式に関する予想がほぼ確からしいとの確信を得た。 これらの研究の他に、11.研究発表にあるように、完全可積分系の一意性に関する研究成果として論文一本、ワイル群の表現の不変量である川中不変量に関する研究成果として論文一本、合計二本の論文を今年度発表した。
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