研究概要 |
対称空間空間上の球Fourier変換,およびそれを拡張した積分変換に対する不確定性原理について研究を行った. Dunkl変換に対して,Fourier解析におけるHeisenbergの不等式およびHardyの定理の類似を与える結果を論文として発表した.Dunkl変換とは,ルート系に付随したDunkl作用素の同時固有関数を積分核とする積分変換である.これを対称な関数に制限したものは,ユークリッド型のリーマン対称空間上の球フーリエ変換のを特別な場合として含む.Heisenbergの不等式とHardyの定理はともに,関数とそのDunkl変換は同時に小さくなれないことを述べている.関数の大きさを計るのはどちらの場合にも熱核である.Heisenbergの不等式において等号が成立するのは熱核の定数倍のときであり,Hardyの定理において,関数とそのDunkl変換の増大度が熱核で評価される場合が条件の境目になっているという点で,Fourier変換の場合と同様な精密な結果が得られている. 非コンパクト型のRiemann対称空間上の球Fourier変換に対して,Hardyの定理の類似を定式化する研究を行った.単位円板の場合に,変換した関数の評価に熱核を用い,対称空間上の関数の評価に熱核の逆像を用いることによりHardyの定理の類似を証明し,結果を論文として発表した.同様の定式化を一般の場合やHeckman-Opdam変換の場合に行うことは今後の研究課題である.
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