可視・近赤外線領域に存在する一連の未同定線であるDiffuse Interstellar Band(DIB)のキャリアーの候補となる各種炭素化合物の生成法として有力な、パルス放電ノズルをステップスキャン型FT-IR分光器(Bio-Rad社製FTS-6000、分解能〜0.07cm^<-1>)に同期させ、多様な分子の断熱冷却赤外吸収スペクトルの測定を行った。FT-IRを含む測定系と真空チャンバー内のパルス放電ノズル試料生成系との結合を最適化し、吸収スペクトル感度向上のためにマルチパス光学系を構築した。その結果、アセチレンおよび一酸化炭素の各振動回転スペクトルについて、吸光度8x10^<-4>程度の高感度測定に成功した。得られたスペクトルから励起計算によって回転温度を求めたところ、約5Kと見積もることができ、本研究において設計・製作したパルス放電ノズルが断熱自由膨脹による高速自由噴流の生成条件を満たした動作をしうる事が明らかになった。また、並行してBBO光パラメトリック発振器と現有のNd-YAGレーザー(Lotis社製LS-2134)とを組み合わせた、紫外〜近赤外線域における連続掃引可能な狭帯域の励起光源(線幅〜1cm^<-1>)を構築を行い、基本動作およびその条件に詳細な検討を行った。今後この光源を用いた、炭素クラスターや芳香族炭化水素イオンなど、星間有機分子の候補となる化学種の蛍光スペクトルの測定が可能になった。
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