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2001 年度 実績報告書

多層格子数値シミュレーションを用いた連星系形成の研究

研究課題

研究課題/領域番号 12740123
研究機関法政大学

研究代表者

松本 倫明  法政大学, 人間環境学部, 専任講師 (60308004)

キーワード星形成 / 連星系 / 数値シミュレーション / 数値流体力学
研究概要

多くの星は連星や多重星系として誕生することが観測的研究から示唆されている。このことから、連星系や多重星系は、母体となる分子雲コアがその重力収縮の過程で分裂して形成すると言われている。また、分子雲コアは、ほぼビリアル平衡であることも、最近の観測的研究から示唆されている。したがって、ビリアル平衡に近い状態にある分子雲コアが重力収縮の過程で分裂して、連星系や多重星系が形成するというシナリオがもっともらしい。しかし、これまでの理論的では、ビリアル平衡に近い分子雲は分裂しないとされてきた。非常に低温の分子雲のみ分裂することができると言われてきた。しかし、本研究は、ビリアル平衡に近い分子雲コアが分裂するメカニズムを発見し、その物理を数値シミュレーションによって調べた。数値シミュレーションでは、多層格子法を用いて高精度で高解像度を実現した。
主要な結果は以下の通りである。
1.分子雲が初期に剛体回転している場合には、ほとんど分裂しない。一方、分子雲が初期に微分回転していると、多くの場合、分裂する。分子雲の角速度分布をΩ∝(1+CR^2)^<1/2>とした場合、パラメータCが大きいほど分裂しやすい。
2.分裂過程の多くでは、分子雲の中心部に回転しているリング状の高密度部が形成する、リングは重力的に不安定な形状であるため、複数のガス塊に分裂する。したがって、分裂するためには、高密度部がリング状になることが重要である。
3.分子雲の回転則がリング形成を制御する。回転則を決めるパラメータCが大きいほど、分子雲の外周部の回転速度は遅くなるため、遠心力は小さくなり、落下速度は大きくなる。中心付近と外周部の速度差により、ガスはリング状になる。
これらの結果を用いると、平衡状態に近い分子雲が多くの場合分裂することが示すことができ、さらに高い連星頻度を説明することができる。

  • 研究成果

    (5件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (5件)

  • [文献書誌] Hanawa, Tomoyuki: "Perturbation Growing in the Main Accretion Phase"The Astrophysical Journal. 558・2. 753-760 (2001)

  • [文献書誌] Matsumoto, T.: "Gravitational Collapse of Rotating Clouds : Bar Formation in a Self-Similarly Contracting Disk"New horizons of computational science (Astrophysics and space science library). 263. 251-255 (2001)

  • [文献書誌] Hanawa, Tomoyuki: "Growth of a Vortex Mode during Gravitational Collapse Resulting in Type II Supernovae"The Astrophysical Journal. 540・2. 962-968 (2000)

  • [文献書誌] Hanawa, Tomoyuki: "Stability of a Dynamically Collapsing Gas Sphere"Publ. of the Astronomical Society of Japan. 52・2. 241-247 (2000)

  • [文献書誌] Saigo, Kazuya: "Collapse of Rotating Gas Clouds and Formation of Protostellar Disks : Effects of Temperature Change during Collapse"The Astrophysical Journal. 531・2. 971-987 (2000)

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公開日: 2003-04-03   更新日: 2016-04-21  

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