研究課題
X線天文衛星「あすか」中間感度サーベイによる研究を進めた。第一に、「あすか」搭載GIS装置によって取得された1993年から1996年のアーカイブデータを系統的に解析し、独自に開発したX線源探査の手法を当てはめた上で、2-10キロ電子ボルトのエネルギーバンドをカバーするものとして過去最大規模のX線天体カタログを完成した。その結果は米Astrophysical Journal誌に論文として発表したとともに、宇宙科学研究所およびNASAゴダード宇宙飛行センターより電子形態で広く天文学コミュニティに公開した。それに先駆け、カタログにおいて最も重要な情報であるX線源の絶対位置の較正を入念に行ない、その精度を大幅に向上させることに成功した。その較正結果は、「あすか」衛星の最終的な位置較正データとしてAstrophysical Journal誌に論文として発表し、一般ユーザに使える形でデータテーブルを供与した。これらの結果は、イタリアで開かれた国際会議「X-ray Astronomy 2000」、日本の「New Century of X-ray Astronomy」において報告した。また、カタログされた微弱なX線天体の正体を明らかにするために、その光学同定観測を進めた。本年度は、合計2度の機会にわたり、アメリカ・キットピーク天文台およびハワイ大学天文台において光学観測を行ない、約80個のX線源を同定することに成功した。現在、これらの結果をまとめた論文を執筆中である。
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