研究概要 |
星間ガスを支配する基礎方程式を高分解能かつ高精度のスキームを用いて数値的に解くことで、銀河中心領域および銀河円盤領域の2次元、3次元自己重力ガスダイナミクスを1〜0.1パーセクの高空間分解能でシミュレーションを行うことができた。われわれの開発した数値流体シミュレーションコードは、ベクトルパラレル型のスーパーコンピュータで性能を発揮できるようにチューニングされている。 我々のモデルでは、非一様かつ動的な星間ガス中の超新星残がいの進化を追うことができるため、星形成とそのエネルギーフィードバックの影響を、現象論的なモデルを導入せずに、表すことができる。その結果、星間ガスは熱的、重力的不安定性の非線形成長の結果、局所的には乱流的で、かつ大局的には安定な構造をつくることが明らかになった。その空間構造は、高密度低温のclumpやfilamentと低密度高温のholeからなる複雑な構造を示す。そのような構造は観測結果をよく再現する。一方、統計的な構造はシンプルはLog-Normal分布を呈し、これは構造形成が、非線形性の強い現象の結果であることを示唆する。このような非一様、乱流的な星間ガス中で、超新星爆発によって星形成が準周期的に引き起こされることがあきらかになった。3次元構造は、2次元構造と基本的に同じであるが、clump/filament/hole構造に加えて、膜状の中間的な密度構造が形成されることがわかった。 以上の結果の一部は、"Numerical Models of the Multi-phase ISM with Stellar Energy Feed-back on a Galactic Scale",The Astrophysical Journal,546,172(2001)として出版された。
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