本研究はTeV〜PeVエネルギー領域の宇宙ガンマ線を効率的に検出するための空気シャワーアレイの最適化を目指している。 本年度は3次元モンテカルロ法によるイベント・シミュレーターの開発を行ない、超高エネルギーガンマ線やハドロンが大気中で引き起こす空気シャワー粒子の特性を調べた。これらの結果から、仮に空気シャワー中の電子と光子の成分比を検出できるとすれば、4次の分布モーメントを求めることにより、親粒子がガンマ線とハドロンかの識別の可能性があることが分かった。ただし、その成分比を検出するために最適化されたアレイに関しては課題である。 次に、従来からある空気シャワーアレイをひとつのイメージプレートとして、シャワー粒子のヒットパターンから親粒子の識別の可能性を考察した。今回はイメージ解析の手法としてニューラル・ネットワークを用いた。ニューラル・ネットワークは空気シャワーアレイの検出器(たとえば500台)を一つ一つの入力ユニットとして、1層の隠れ層を挟んで、出力ユニットを一つという構成を用いた。現段階ではまだ暫定的な結果であるが、イメージ解析によって、バックグランドとなるハドロンシャワーの50〜60%が排除できていることが分かった。今後、ネットワークの最適化や学習の統計精度を上げることにより、より改善が可能と予想される。 次年度はこれらの準備研究を元に、最適化されたイメージング空気シャワーアレイの具体案を検討していく予定である。
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