電荷結合素子(CCD)は、宇宙物理学分野における光子検出や、素粒子物理学分野での荷電粒子検出による崩壊点検出器への利用など、広範囲において用いられている。本研究では、これら広範囲にわたる研究分野でCCD放射線検出器として用いる際、最大限の性能を発揮するために、信号の入射とその応答を詳細に測定し、検出信号のピクセル間への漏れ(電荷分配)を測定評価し、CCDの構造と位置分解能の関係を明らかにすることを目的としている。 本年度行った研究概要とその成果は、以下の通りである。 1)スキャンテーブルとレーザーからなるシステムを構築 高出力YAGレーザーを減衰フィルタにより弱め、最小電離粒子に近い信号量で、CCD放射線検出器に照射する。また、CCD表面上を数ミクロン間隔で走査することが可能である。 2)構築したシステムを用いて、2種類の異なるCCD放射線検出器について測定 測定試料として、EEV社製のCCD06-02SISと浜松ホトニクス社製のS5466を用いた。 2種類のレーザー波長で測定を行い、吸収長の違いにより532nmでは低エネルギーX線やα線などを再現し、1064nmでは最小電離粒子に近い信号が得られることを確認した。 (平成12年度日本物理学会、応用物理学会北陸・信越支部合同講演会 発表) (平成12年度日本物理学会第56回年次大会 発表) 3)測定により得られるデータ処理のための数値計算ソフトウェア開発 莫大なデータを高速に処理するため、分散環境を考慮しJava言語によりオブジェクト技術を取り入れたソフトウェアの開発を行った。 (平成12年度電気関係学会北陸支部連合大会 発表) (情報処理学会第62回平成13年前期全国大会 発表)
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