研究概要 |
反対称化分子動力学の手法により不安定原子核の構造を研究し、不安定核の励起状態に、様々な構造が現れることを発見した。例えば^<11>Beの原子核には、2αクラスターの芯をもつ分子的構造が発達した励起状態が比較的エネルギーの低い領域に現れ、高スピン状態までの回転帯を形成することがわかった。^<11>Beには2αクラスターの発達した構造が数多く現れる一方で、理論計算では2つのαクラスターの片方が壊れたようなシェル模型的な励起状態が10MeV近くの励起エネルギーの領域に現れると予想された。理論計算には、こうした様々な励起状態の構造が予想されるが、E2遷移強度,ベータ遷移強度などの諸量の理論値と実験値を比較することにより、対応する状態が存在することを実験データからも確かめられることを明らかにした。より重い不安定核をも、統一的に記述するために、反対称化分子動力学における新しいタイプの有効相互作用の開発に向けて、数値シミュレーションを行ない、有限レンジの3体斥力の導入が有効な方法であるという手掛りを得た.
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