研究概要 |
少数キャリヤー系物質であるランタン・モノプニクタイド(LaX,X=N,P,As,Sb,Bi)及びガドリニウム・モノプニクタイド(GdX)について、周波数50〜280GHz,温度0.5K〜、磁場〜14T でのサイクロトロン共鳴実験を中心に行った。以下にこれまでに本研究で得られた成果を述べる。 (1)La系:LaSbでは、α-branchフェルミ面のキャリヤーによるサイクロトロン共鳴の観測に成功し、有効質量を0.51m_0と見積もった。この値は既報のdHvA効果から見積もられた値よりも約2倍大きい。一方、LaBiでも同じα-branchの有効質量が求められたが、得られた値0.33m_0はdHvA効果から求められた値とほぼ同じである。 (2)Gd系:GdAsでは、β-branchフェルミ面のキャリヤーによるサイクロトロン共鳴の観測に成功し、有効質量を0.45m_0と見積もった。この値もLaSb同様、既報のdHvA効果から見積もられた値よりも約2倍大きい。さらに、GdSb,GdBiについてもサイクロトロン共鳴が観測され、これらの有効質量は0.7〜0.8m_0であった。しかし、dHvA効果からGdSb,GdBiのすべてのフェルミ面に対する有効質量は見積もられておらず、現在dHvA効果測定の準備を進めている。 以上のように希土類がLaやGdのような4f電子を持たない又は結晶場の影響を受けないような物質においても、プニクトゲンの違いによって必ずしもサイクロトロン共鳴から求めた有効質量とdHvA効果から求めたそれとが一致しないことが本研究によって明らかになった。現在のところその機構解明にはいたっていないが、さらに系統的研究を進めるとともに、CeSbなどのいわゆる"強相関物質"についても調べる予定である。 (3)希釈冷凍機を用いたESR・サイクロトロン共鳴装置開発において、160mKでの測定に成功した。
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