・具体的な研究事項 『強磁性超伝導ErNi_2B_2Cの自己誘起磁束格子の研究』 平成12年度は、強磁性と超伝導が共存するErNi_2B_2C系で、これらの相反すると思われる2つの秩序状態が系内でどのように共存するのかという観点から『強磁性の磁気構造について』、および、強磁性が存在するために、超伝導状態がどのような影響を受けるかという観点から、『強磁性秩序が作る内部磁場により、超伝導に外部磁場を掛けなくても磁束格子が現れる(自己誘起磁束格子構造)現象の可能性について』研究を行った。 ・研究経過及び進捗状況・成果 実験は、日本原子力研究所東海研究所の研究用原子炉に設置されている中性子3軸分光器、及び、中性子小角散乱装置を用いた。 中性子3軸分光器では、ErNi_2B_2C系の強磁性磁気構造について情報を与える磁気散乱が観測できた。中性子小角散乱では、磁束の空間相関を直接観測することができるが、測定の結果、統計的にはまだ精度が足りないが、磁場中冷却後の強磁性のドメインが揃えられた状態では、外部磁場を切っても、磁束格子構造が存在している可能性を強く示唆するデータが得られた。
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