研究概要 |
本研究課題に関する今年度の計画は,現有装置の一部新規購入後,全体的な装置の調整,温度センサの磁場中校正および磁場中比熱測定のための準備を行うことであった.これに並行して現在保有しているf電子系化合物の磁気熱量効果を順次測定していくことも考えていた.このうち,装置購入とそれらの調整,また購入した装置を用いての幾つかの温度センサに対する磁場中校正はほぼ完了した.現有の試料を用いた測定に関しては,事前に行う必要のある測定として,極低温磁気抵抗および磁化測定を反強磁性近藤物質CePdAlについて行った結果,磁気熱量効果を行うことにより磁気相図を決定することのできる可能性のある,興味深い振る舞いが見つかった.この試料の磁気熱量効果測定は早急に行う予定である.一連の成果公表には若干の時間が必要だが,これは当初の計画通り,次年度に行うべく努力しているところである.磁場中比熱の測定に関しては装置の一部は専用ではなく,他の研究者による他の実験においても共同で用いていることにより十分な時間が取れず,未だ完全な形で実施出来ていない.しかしこれも用いる温度センサの磁場中校正が完了しているので間もなく結果を出すことが可能となるものと思われる.磁性微小系では磁気熱量効果測定の予備実験として,希釈冷凍機を用いた極低温における磁気抵抗測定を行い,観測された近藤効果様のふるまいの起源に関しての議論について公表した.
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