希土類アンチモン化合物RSb_2は希土類元素Rを変えることによって強磁性や反強磁性、超伝導となるなど多様な物性を示す。特にPrSb_2においてCDW転移によるものと考えられる電気抵抗の異常や磁気転移点の圧力効果についてこれまでいくつかの報告をしてきた。 本研究は、R=La、Ce、Pr、Nd、Smの良質な単結晶育成に成功した、アイオワ州立大学のCanfield博士のグループとの共同研究であり、これらの5つの物質について高圧下、磁場中での電気抵抗を調べ、さらに高圧下でX線回折実験をおこなうことにより、この系の特異な電子構造の層間距離依存、R依存等についての情報が得ることが目的である。今年度は特に電気抵抗についての実験が進展したので結果を簡単に述べる。 RSb_2の電気抵抗の温度依存性は、CeSb_2で近藤様効果が、PrSb_2とNdSb_2でCDW転移が見られる以外は、通常の金属的なふるまいをする。低温では磁気秩序にともなう電気抵抗の減少が観測される。室温で圧力増加にともなう電気抵抗の不連続な減少が起こり、その圧力はRの原子番号とともにより高圧で観測される傾向にあることが、これまでの2GPa以下の測定でわかっていたが、今年度SmSb_2の電気抵抗を8GPaまで測定したところ、やはり3.5GPa付近でそれに相当する異常が起こることがわかった。また、その前後の圧力範囲で電気抵抗は温度に対して小さなヒステリシスをもっている。現段階では結晶変態が起こっていると予想しており、また、ひきつづいてSmSb_2以外の試料についても高圧実験を行っていく予定である。
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