スピン自由度に着目して強磁性ナノコンタクトの量子化コンダクタンスを研究した。直径0.1mmのニッケル線をニッケル蒸着膜に接触させ振動を与え、ニッケル線がニッケル蒸着膜から離れる瞬間の電気伝導度をデジタルオシロスコープを用いて測定した。ニッケルナノコンタクトはニッケル線がニッケル蒸着膜から離れる瞬間に形成されると考えられる。ニッケル線の磁化を飽和する程度の外部磁場を印加するとe^2/h単位の量子化コンダクタンスが観測され、外部磁場がない場合は2e^2/h単位の量子化コンダクタンスが観測される、という興味深い結果を得た。この研究成果は、時間的に安定なニッケルナノコンタクトが作製できれば、外部磁場の印加によってニッケルナノコンタクトの抵抗が大きく変わり得ることを示唆しており、このような大きな磁気抵抗効果を利用したナノデバイスへの応用が考えられる。
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