平成12年度には、主に下記の研究を行った。 我々の開発したVLPC(Visible Light Photon Counters)を用いた光子数検出器は大変高い性能を有するが、ヘリウム温度への冷却が必要など調整が大変複雑である。まず一年目は、市販の光子検出器SPCM(Single Photon Counting Module)(本研究で購入予定)を用いて、「制御性がよく、バックグラウンドの少ない光子間の量子もつれ合い状態の発生」について研究を行った。 バックグラウンド光を減らす為には、一方の光子を検出した場合にできるだけ高い確率で他方の光子を検出しなければならない。研究の結果、その相関値が80%(検出器の量子効率、途中に挿入した光学部品による減衰を補正)とこれまでの方法に比べて非常に高い値を得ることができた。(Optics Letters発表。) また、VLPCを用いた光子数検出器の改良にも取り組んだ。これまでは、検出器のシールドを開閉すると、赤外線輻射のリークによる高いダークカウントに悩まされることがしばしばであった。このシールド構造の全面的な見直しを行い、安定した動作を実現することができた。 平成13年度には、ひきつづきVLPCの改良ならびに光子対源の見直しに取り組み、完全なベルの不等式の検証実験を目指す。
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