マコロード回廊周辺で1996年4月から2000年9月までに行われた9回のGPSキャンペーン観測に関して、そのデータ収集および整理を行なった。これら以外にも、東京大学地震研究所によって設置されたマニラ観測点やフィリピン内外のIGS観測点のGPSデータ収集を行なった。 それらのデータを用いて、1996年4月から1998年4月までの4回のキャンペーンについてのデータ解析を、Bernese Ver.4を用いて行なった。その結果、マコロード回廊内および回廊の南側が、北側の地域に対して年間2cmの大きさで東ないし北東方向に変位していることが明らかになった。 そして、得られた変位場から当該地域の主歪および回転成分を計算した。その結果、マコロード回廊内では、2〜4×10^<-7>の南北ないし北北西-南南東方向の伸長成分が検出された。マコロード回廊以外の地域ではこれほど大きな歪みは検出されておらず、この地域のみが大きく変動しておりかつ伸長場にあることが明らかになった。また、マコロード回廊内の回転成分は反時計回りに0.2-0.4マイクロラジアン/yearであり、この値も周辺より若干大きめであった。0.2-0.4マイクロラジアン/yearという値はは古地磁気学的手法により得られた、過去200万年のプロック回転運動(最大40度)の平均回転速度とほぼ等しい。求められた伸長成分や回転成分はマコロード回廊の生成プロセスを考えるうえで非常に重要である。
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