昨年度に引き続き、アジア夏季モンスーンの中でも最も多量の降水が見られるバングラデシュの首都ダッカにおいて、バングラデシュ気象局、およびバングラデシュ工科大学の研究者と協力して、レーウィンゾンデによる高層気象観測を実施した。観測は2001年6月27日から8月16日にかけて行われた。大気構造の日変化の解像を主要な目的として、1日4回観測を18日分、1日8回観測を2日分など、合計88回分の高層気象観測結果を得た。これらの高層気象観測と並行して気蒙局のさまざまなデータの収集を行った。特に、降雨レーダーデータや、3時間後との地上観測データなど、メソスケール現象、日変化を解像しうるデータに注意した。 引き続き日変化にかかわるデータ解析を進めた。レーダーデータからは、典型的な対流活動の日変化パターンの一っを見出した。午前中から午後にかけてバングラデシュ南西部に離散的なレーダーエコーが卓越す乱一方、夜から夜半にかけてはバングラデシュ北東部に、組織化し、よく発達したレーダーエコーが見られる。レーウィンゾンデデータからは、ダッカにおける風の鉛直構造の日変化が得られ、上記のような対流活動の日変化とよく対応することがわかった。また、大気循環の日変化成分は、水蒸気を北へはこぶ役割を果たしていることが示された。これらの成果はISAM3にてすでに発表し、更に京都大学防災研究所年報にまとめる予定である。また、国内外の研究者と協力して、バングラデシュの大気現象にかかわるいくつかの論考を発表した。
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