地球磁気圏プラズマ中における低周波プラズマ波動の電界成分を観測するために科学衛星GEOTAILに搭載されている全長100mのワイヤダイポールアンテナの特性を調べる目的で、レオメトリ実験を行った。まずGEOTAIL衛星構体の1/100スケールモデル(真鍮製、表面を金メッキ、2cmφ×2cmの円筒型)を作成した。そのモデルに、ワイヤアンテナとして2組の直交ワイヤ(ポリウレタン銅線、1組につき片側50cmで全長1m)を接続した。水槽(FRP製、内径1.5m×1.1m×0.7m)に水道水を入れて衛星モデルを沈め、両端面に置いたステンレス製の電極をシグナル・ジェネレータ(出力約10V)に接続して、水槽内に1kHzの均一交流電界を発生させた。その状態で衛星モデルを回転させて、ワイヤダイポールアンテナに出力される電圧を測定し、アンテナの指向性を測定した。測定された指向性は、微小ダイポールの8の字特性とほぼ一致した。次に、周波数を100Hzから5MHzまで変化させてアンテナ実効長の周波数特性を評価したところ、低周波における実効長はほぼダイポールアンテナの全長と等しくなり、ある周波数(数kHz)以上ではアンテナの半分の長さになることが明らかとなった。その原因に関しては現在検討中であるが、アンテナワイヤに定在波(三角分布)電流が載るかどうかに関係しているのではないかと思われる。実際の磁気圏プラズマ中でも同様のことが起こると考えられるため、現在まで交流信号に対しては単純に全長の半分(50m)であると仮定されてきたGEOTAIL衛星のワイヤアンテナ実効長を、周波数特性を含めて再評価する必要があると考えられる。
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