本研究の最終目的である、地球磁気圏のプラズマの大規模な対流が引き起こされるメカニズムを明らかにするために、本年度は以下の研究を行った。 1.磁気圏内に太陽風起源のプラズマが侵入して長周期MHD波を励起した時の電離圏応答の理論的計算 2.GEOTAIL衛星とあけぼの衛星の、同一磁力線上同時の電場データ及び、地上の電気伝導度を用いた解析 1.の計算の結果、磁気圏内を伝播するMHD波の電離層における反射が、電離圏において観測される時間的に変動する電場の特性に大きく影響することが明らかになった。即ち、長周期の変動については、振幅は殆ど減衰しないが時間遅れを伴って電離圏高度で観測され、比較的短周期の変動は、振幅が減衰し電離層高度では殆ど観測されない。この結果は、2.の観測結果と大変よく合うことがわかった。2.において計算との比較の対象となった観測時期はごく限られたものであるが、1.の理論的計算は、磁気圏の電場変動に対する電離層の応答特性が電離層の電気伝導度に大きく依存することを示唆し、従って季節依存することを示している。 6月に東京で行われた地球惑星科学関連の合同学会において、中間結果の口頭発表を行った。9月にトルコで行われた磁気圏境界面外部の物理に関する国際会議で招待講演を行った。10月には札幌で行われた国際会議(S-RAMP)において口頭発表を行った。また。これまでの結果をshort letterにまとめたものを、国際雑誌に投稿した。
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