研究概要 |
前遷移金属カーバイドは触媒材料として注目されているが,従来の研究対象はカーバイド化処理温度の低さから,Mo_2C,WCなどがほとんどであった.一方,NbCは処理温度1370Kと高いことから凝集により比表面積低下を招きやすく,研究例が少ない.そこで新たにシリカ担持型のNbを調製し,カーバイド化を行ったところバルク型に比較して1073Kという低温で生成することを見いだした.Nbの担持量を1.4から12wt%の間で変化させ,処理温度1273Kとしてカーバイド触媒を調製しEXAFS測定を行ってみたところ,4wt%以上の担持量ではバルクNbC種に類似構造が認められたが,それ以下の低担持量では,バルクのカーバイド種とは異なりオキシカーバイド的な構造を有していることが明らかになった.2wt%の触媒で処理時間を30minと180minとにしたものについてTEM測定を行ってみたところ,NbC平均粒径は両者とも2.3nmと変化がなかったが,CO酸化反応活性は前者で75.8×10^<-6>mol・min^<-1>・g_<Nb>^<-1>,後者で42.7×10^<-6>mol・min^<-1>・g_<Nb>^<-1>と大きく減少した.ラマン測定の結果から,過剰なカーバイド化処理は活性サイト上にグラファイトを析出させ活性低下の要因になることが判明した.含浸・カーバイド化を2度行う逐次カーバイド化法を考案し応用することで,高担持域でも高分散化した表面NbC種を構築することができた.この時の触媒は.TEMによるとNbC粒子を中心にグラファイトが成長していることが観測された.このグラファイト種のために高分散性が維持されたと考えられ,析出炭素による表面カーバイド種の設計について指針が得られたと考えられる.現在,これを基に細孔構造を持つシリカを担体として高担持量での薄層化NbC種の設計を進行させているところである.
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