励起状態の内殻励起状態の振動準位を分離できるような励起光のバンド幅が狭い条件において解離イオン種選別と角度分解を同時に直接的に行う測定は、これまでに研究報告がなく方法は確立されていない。そこで、イオン種の識別をした上で角度分解してイオン収量を測定する簡便な方法を開発する必要がある。検討したところ、簡便なレンズを持つイオン検出器に、四重極質量フィルターを組み込むことで実現できる可能性が高いことがわかった。今年度は、最も重要となる四重極質量フィルターを準備した。また、レンズ部に印加する電圧条件について、シミュレーションを行い、運動エネルギーが1から20eVの解離イオンを検出器に導く条件を探している。現在、レンズ部の製作を行っており、まだ動作試験を行っていない。 来年度は、この装置を用い、ヘテロな直線3原子分子を対象とした測定を行う予定である。その結果から、3原子分子の内殻励起における電子的構造・振電結合・幾何構造の変化・解離動力学について検討する予定である。
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