平成13年度は、昨年度作製した可視光波長固定のマルチプレックス方式可視赤外表面和周波発生(SFG)分光システムを発展させ、可視光波長可変化した。可視光の波長可変化は、光パラメトリック発生/増幅器(OPG/OPA)によって行った。OPG/OPAの励起用光源として、昨年度にSFGの可視プローブとして作製したナローバンド可視光(400nm)を用いた。我々のレーザーシステムの400nmのエネルギー(500microJ)は、OPG/OPAの励起可能なぎりぎりの大きさである。このため、非線形結晶の結晶長や内部光学系の調整などによって、既製OPG/OPAを低出力の励起が可能なように改造した。その結果、波長可変範囲が470-700nmで、波数幅約15cm-1、パルスエネルギー30microJ程度の出力が得られた。 SFG分光の標準試料である金属膜上のアルカンチオール自己組織化膜を対象に測定をおこない、作製した分光システムの性能を評価した。試験測定に使用した可視プローブ波長は、633、535、477、400nmである。いずれの波長を使用した場合も、測定時間1分で良好なSN比のスペクトルが得られた。得られたSFGスペクトルのスペクトル形は、可視光波長によって顕著に変化した。この変化は、使用した可視プローブ光の波長範囲内に存在する金のバンド間遷移との共鳴効果の度合が変化するために、SFG信号を与える二次の非線形感受率のうち金基板からの寄与の強度と位相が変化したためであると解釈した。
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