研究概要 |
本研究では多核希土類ポリ酸をフォトニクス材料の前駆体として用いるための基礎および応用研究を行った。 1.多核希土類ポリ酸の分子構築と設計 (1){希土類イオン}:{欠損Keggin型配位子}:{欠損Lindqvist型配位子}の組成比が1:1:1,2:1:2,3:2:2をもつ一連のの混合配位子型希土類ポリ酸を合成した。既知の3:1:3構造と合わせbuilding blockであるポリ酸配位子を希土類イオンで架橋するクラスター分子の設計・構築の可能性が増大した。 (2)環境の異なる2つの希土類サイトをもつ[Ln_2(H_2O)_2(SbW_9O_<33>)(W_5O_<18>)_2]^<15->において、希土類イオンのサイズによるサイト選択性を見いだした。 2.多核希土類ポリ酸の低温(室温〜500℃)熱分解と発光強度 (1)既知構造の、モリブデン、ニオブ、タングステンの多核希土類(Eu^<8+>)ポリ酸を空気中〜500℃で熱分解し発光強度を測定したが、期待に反しいずれもポリ酸骨格構造の崩壊とともに発光は著しく減少した。ポリ酸骨格の分解で生じた多数の欠陥が発光のキラーサイトになっているものと推定された。 3.多核希土類ポリ酸の高温(800℃)熱分解生成物と発光特性 (1)[Eu_2(H_2O)_<12>Mo_8O_<27>].18H_2Oを前駆体とする熱分解により3つの新しいEu/Mo/O相Eu_2Mo_5O_<18>,Eu_4Mo_7O_<27>,Eu_6Mo_<10>O_<39>を見いだし、構造を明らかにした。Eu_2Mo_5O_<18>,Eu_4Mo_7O_<27>について強い蛍光強度を確認した。
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