研究概要 |
シアノ金属錯体ミネラロミメティク構造とゲスト分子との関係を検討し、有機ゲスト分子を系統的に用いて、ポリシアノポリカドミウム酸をホストとするミネラロミメティク多次元構造を持つ包接体の動的構造機能制御への検討を行なった。シアン化物イオンとオニウムゲストのモル比によりホスト構造制御する方法について検討を行い,合成条件を詳細に検討することにより四面体ユニット[Cd(CN)_4]^<2->のサイトにおいて,シアン化物イオンがヨウ化物イオンに置換する割合を制御できることが明らかになった。 また中心金属元素およびゲスト有機分子を系統的に変化させることにより、新たなる機能、物性を持つミネラロミメティク超分子構造の合成を試みた。カドミウム以外の遷移金属イオンを用いることにより、d電子の性質を有効に利用した新しい磁気材料の開発をめざした。中心金属としては,2価の鉄を用いたミネラロミメティク構造をもつ磁気材料は、複合的機能を持たせるうえでも有利な化合物である。具体的には,配位子ゲストとしてピリジンを用いた層状ミネラロミメティク構造を持つFe(py)_2Ni(CN)_4は,スピンクロスオーバー挙動を示すが,この化合物について主に^<57>Feメスバウアー分光法と熱分析装置を併用することにより,特性を評価した。熱分析装置よりピリジン配位子は,かなり高温まで鉄原子に配位していることが明らかになった。重ピリジン(Pridine-d5と^<15>N-pyridine)を用いたFe(py)_2Ni(CN)_4を合成し,メスバウアースペクトルを測定したとこを併用することにより、スピンクロスオーバー挙動に同位体効果があることが明らかになった。これらの結果より、系統的にデータを蓄積することにより、ミネラロミメティク構造機能の制御の指針を得ることができた。
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