超臨界二酸化炭素中(臨界温度(31.0℃)および臨界圧力(72.8気圧)以上の状態の二酸化炭素中)での酵素反応は、溶媒および触媒の両方が自然界由来のものであるので、環境調和型な反応として注目を浴びている。しかし、ほとんどの報告が、加水分解酵素を用いた反応である。 本研究ではアルコール脱水素酵素を用いた反応の検討を行った。超臨界二酸化炭素中でのo-Fluoroacetophenoneの固定化チチカビによる還元の経時変化を調べたところ、反応時間とともに収率は増加し、明らかに反応は超臨界二酸化炭素中で起こっている。本研究が、アルコール脱水素酵素による反応を超臨界二酸化炭素中で行った初めての例である。また、様々な基質の還元を行ったところ、反応は進行し、高い不斉収率で対応するアルコールが得られた。
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