1.モノクローナル抗体の抗原となる細胞壁タンパク質の調製 細胞壁には様々なタンパク質が存在し、抽出条件によって得られるタンパク質の組成が異なってくると考えられる。そこで、まず、抗原となる細胞壁タンパク質の抽出条件として、細胞壁画分の精製方法、細胞壁画分から細胞壁タンパク質を抽出する際の抽出バッファーに含める塩の種類・濃度などを検討した。 2.発現cDNAライブラリーの作成 平成13年度に行う抗原タンパク質の同定に必要な発現cDNAライブラリーを作成した。分化の各過程の細胞からpoly(A)+RNAを精製し、発現ベクター(λZapII)を用いたcDNAライブラリーを構築した。また、このライブラリーを用いて、リグニン合成に関与するlaccaseなどの細胞壁局在タンパク質をコードするcDNAを多数単離した。 3.細胞壁タンパク質TED4の機能解析 葉肉細胞から道管細胞への分化転換過程で細胞壁に多量に分泌されるタンパク質であるTED4タンパク質の機能解析を進めた。まず、TED4タンパク質が道管細胞分化のプログラム細胞死の際に活性化されるプロテアーゼ活性に対して阻害効果を持つことを示し、さらに、TED4タンパク質と結合するタンパク質の精製などを行うことにより、TED4タンパク質が道管細胞分化のプログラム細胞死の際に細胞外に放出されるプロテアソームの阻害剤として働き、周囲の細胞をプロテアソーム活性から守っていることを明らかにした。
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