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2000 年度 実績報告書

核コード転写調節因子による核-葉緑体間の時間情報伝達機構

研究課題

研究課題/領域番号 12740435
研究機関名古屋大学

研究代表者

青木 摂之  名古屋大学, 大学院・人間情報学研究科, 助手 (30283469)

キーワードヒメツリガネゴケ / 色素体シグマ因子 / 遺伝子破壊
研究概要

多くの植物遺伝子の発現には概日時計による制御がみられる。近年、色素体ゲノムの遺伝子についても日周期的な発現が報告されつつあり、その発現制御機構に興味がもたれている。植物の核コード色素体σファクターは、発現後に色素体に移行し、色素体コードRNAポリメラーゼ(PEP)のプロモーター選択性を調節すると考えられる。従って、色素体σファクターは、色素体遺伝子の周期発現における調節因子の重要な候補として注目される。私たちは、新たなモデル植物として期待されるヒメツリガネゴケを用いて、σファクター遺伝子のクローニングと基本的な特徴付け、さらに機能研究の第一歩としての遺伝子破壊を試みた。
我々はまず、コケのσファクダー(PpSIG1とPpSIG2)をコードするcDNA(PpSig1とPpSig2)と、それらに対応する核ゲノム遺伝子(sig1とsig2)をクローニングした。系統学的解析により、PpSIG1、PpSIG2は、高等植物のSigB、SigAグループにそれぞれ属することが明らかになり、コケと高等植物の共通祖先において既に高等植物にみられるσファクターの多様化がすでに始まっていたことが示唆された。GFP実験によりPpSIG1とPpSIG2が共に葉緑体に局在することを明らかにし、両者がいわゆる「色素体σファクター」であることを確認した。sig1とsig2の発現量が共に光に応答して増加することから、PpSIG1とPpSIG2は葉緑体遺伝子の光応答発現の制御に関わることが示唆された。さらに、nptII遺伝子カセットの挿入によるsig1の遺伝子破壊株の作製を試み、十分数の候補株を得た。これらの成果の一部を、二本の論文にまとめた(一本は投稿中)。
このように、コケを用いて色素体σファクターの機能解析を行うための基礎を確立した。今後、相同組換えを利用し、両遺伝子の破壊、過剰発現を試み、色素体遺伝子の周期発現に対する影響を形質転換体と野生型株で比較することにより、色素体σファクターが時間情報伝達因子として機能している可能性を検証することが可能になると考えられる。

  • 研究成果

    (1件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (1件)

  • [文献書誌] Keishi Hara,Mamoru Sugita and Setsuyuki Aoki.: "Cloning and characterization of the cDNA for a plastid σ factor from the moss Physcomitrella patens."Biochimica et Biophysica Acta. 1517(2). 302-306 (2001)

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公開日: 2002-04-03   更新日: 2016-04-21  

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