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2000 年度 実績報告書

葯が裂開しない表現型を指標にしたジャスモン酸シグナリング関連遺伝子の単離と解析

研究課題

研究課題/領域番号 12740437
研究機関京都大学

研究代表者

石黒 澄衛  京都大学, 大学院・理学研究科, 助手 (50260039)

キーワードDAD1 / シロイヌナズナ / ジャスモン酸 / ホスホリパーゼA1 / 葯の裂開 / 雄性不稔 / リノレン酸 / 傷害誘導
研究概要

我々が単離したシロイヌナズナのdefective in anther dehiscencel(dadl)突然変異体は開花後も葯が裂開しない突然変異体である。この変異型表現型はジャスモン酸の塗布により正常型に戻ることから、原因遺伝子DAD1はジャスモン酸の生合成に関与すると予想していた。クローニングの結果、DAD1はリパーゼと相同性のあるタンパク質をコードしていることを明らかにしていた。
本研究では、DAD1タンパク質の機能を明らかにすることを目的として研究を行った。まず、DAD1タンパク質を大腸菌で発現させ、その酵素活性を調べた。その結果、DAD1タンパク質はホスホリパーゼA1であることがわかった。植物からホスホリパーゼA1が同定されたのは初めてである。次にGFPとDAD1の融合タンパク質を作製しパーティクルガン法で細胞内局在部位を調べた。その結果、DAD1は葉緑体に存在するタンパク質であることがわかった。さらにDAD1とジャスモン酸合成との関連を調べるため、DAD1遺伝子の発現部位である蕾のジャスモン酸含量を調べた。その結果、dad1突然変異体では蕾のジャスモン酸含量が著しく減少していた。以上の解析結果より、DAD1は葉緑体のリン脂質を分解するホスホリパーゼA1で、ジャスモン酸の生合成過程を触媒する酵素であることが示された。ジャスモン酸の生合成は脂質から遊離リノレン酸を切り出す過程で制御されていると考えられており、この反応を触媒するリパーゼが葉緑体に存在することは以前から予想されていたが、これまで誰もその実体を捉えていなかった。本研究によりDAD1がまさにこのリパーゼであることが明らかにされ、世界初の報告になった。

  • 研究成果

    (4件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (4件)

  • [文献書誌] T.Sakai et al.: "RPT2 : A Signal Transducer of the Phototropic Response in Arabidopsis"The Plant Cell. 12. 225-236 (2000)

  • [文献書誌] Kagawa,Sakai et al.: "Arabidopsis NPL1 : A Phototropin Homologue Controlling the Chloroplast High-Light Avoidance Response"Science. (印刷中).

  • [文献書誌] 石黒澄衛,清水健太郎: "花-性と生殖の分子生物学-"学会出版センター. 258 (2001)

  • [文献書誌] 太田真由美 他: "ライフサイエンスのための系統保存とデータバンク"共立出版. 161 (2000)

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公開日: 2002-04-03   更新日: 2016-04-21  

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