本研究では孔辺細胞原形質膜H^+-ATPaseの活性化に直接関わるプロテインキナーゼを含めH^+-ATPaseと相互作用する蛋白質を酵母のTwo-hybridシステム法、免疫沈降法により単離し、その機能を明らかにすることを目的として進めてきた。 酵母を用いたTwo-hybridシステム法では、H^+-ATPaseのN末端領域(1〜59残基)、1番目と2番目の膜貫通領域間(115〜235残基)、C末端領域(845〜956残基)の各断片を含むベイトプラスミドを構築した。これらベイトプラスミドを用いて孔辺細胞cDNAライブラリー由来の1x10^7クローンのスクリーニングを行った。その結果、195クローンが陽性クローンとして得られた。現在これら陽性クローンのcDNAのシークエンス作業を進めているところである。cDNAの配列が明らかとなったものとしては、ATP/GTP-binding site motifAをもつLEA-like proteinやvestitone reductaseなどがある。LEA-like proteinについてはin vitroでH^+-ATPaseと直接結合することも確認した。 原形質膜H^+-ATPaseに対する抗体を用いた免疫沈降法では、確実に細胞内でH^+-ATPaseと結合する蛋白質を単離することができる。そこで、H^+-ATPaseと共同沈降する37kDa蛋白質をMass解析により同定したところ、興味ある蛋白質であることが明かとなった。 今後は、これら蛋白質の機能を明らかにするため、H^+-ATPaseの活性やリン酸化レベルへの影響をin vitroまたは孔辺細胞プロトプラストを用いた一過的発現系により調べる予定である。
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